大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

仙台高等裁判所 昭和25年(う)838号 判決

原審第二回公判調書によれば「検察官は本件公訴事実を書証により立証すると述べ一、太田吉五郎の始末書、二、下山勇の始末書一通以下、二十四、菊地次雄の始末書一通まで合計二十四通の始末書二十五、司法警察員作成の被告人に対する第一、二、三回の供述調書各一通、二十六、検察官の面前における被告人の第一、二回供述調書各一通の取調を請求し、右一ないし十三により第一事実を十四ないし二十四により第二事実を二十五、二十六により第一ないし第三事実を立証すると述べ、弁護人は右書面を証拠とすることに同意すると述べ裁判官は検察官請求の右各書類を全部取調べる旨を告げ検察官は右の書類を順次朗読し裁判官に提出した」ことは明かであつて検察官が右二十五、二十六の被告人の自白調書の取調請求を他の証拠の取調請求後になされることは望ましいことではあるが同時にしたからといつて違法であるということは出来ない。ただ斯る証拠は犯罪事実に関する他の証拠が取調べられた後でなければ取調べることは出来ないものと解する。しかし総ての証拠が取調べられた後でなければいけないというものではない。よつて本件につき是をみるに二十五、二十六の右調書は一ないし二十四の証拠が順次取調べられて検察官より裁判官に提出になつた後に取調べられて提出になつた証拠であることが明かであるから所論のような違法は毫も存在しない。論旨は理由がない。

同第二点について。

証拠物の取調方式は展示によることを必要とし証拠物中書面の意義が証拠となるものの取調においては展示の外朗読をも必要とすることは勿論であるが前記のような各始末書や供述調書は証拠物ではなく証拠書類と認むべきであるから其の取調方式は朗読をもつて足るべく、これ等証拠につき裁判官は訴訟関係人に対し反証の取調の請求その他の方法により証拠の証明力を争うことが出来る旨を告げたことは原審第三回公判調書に明記されているところであるから論旨は理由がない。

同第三点について。

(前略)

なお職権をもつて調査するに本件は罰金等臨時措置法施行後の犯行であるのに原判決は該当法条を適用しない違法がある。この違法は判決に影響を及ぼすこと明かであるからこの点でも原判決は破棄を免れない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!